【FEATURES】 6名の名プレイヤーが初の組み合わせで共演！ 2台のピアノで魅せるデュオ・プログラム『PIANO SUMMIT』
6名の名プレイヤーが、初の組み合わせで日替わりに登場。
2台のピアノで魅せるデュオ・プログラム『PIANO SUMMIT』の見どころを、
音楽ライター/ジャーナリストの原田和典が解説！
10月7日から9日にかけて、恵比寿 BLUE NOTE PLACEにてピアノ・ファン必見必聴のライヴ・イベントが開催される。
題して「PIANO SUMMIT」。
ジャズを根底に、ピアノの可能性を追求し続ける才人6名が日替わりでデュオを行い（2名×3日）、文字通りの“音の会話”を至近距離で届けるという、実にわくわくさせるプログラムだ。どのデュオも初めての組み合わせ、というのも期待を倍加させる。
共通点と相違点が浮かび上がるとともに、時にはハプニングやスリルも含みながら、丁々発止のデュオ世界にいざなってくれるに違いない。
10月7日(月)に行われるのは、マルチン・ヴァシレフスキと小沢咲希のデュオ・パフォーマンス。
ポーランド・スワヴノ生まれのマルチンは1990年代にシンプル・アコースティック・トリオの一員として頭角を現し、今世紀に入ってからは主にECMレーベルへのレコーディングを続けているベテラン。
小沢は2023年ReBorn Wood Labelからアルバム・デビューを果たし、去る7月には2週間に及ぶヨーロッパ・ツアーを成功させた。
ふたりはJazz Auditoria 関連のドキュメンタリー映像「JAZZMENTARY case2： JAZZ in POLAND」の収録で顔合わせ済みだが、ステージ上でのパフォーマンスはこのBLUE NOTE PLACE公演が初めてとなる。
一緒に演奏する日を望んできたふたりによる、夢の成就を目の当たりにしたい。
10月8日(火)の公演では、海野雅威と梅井美咲がデュオを繰り広げる。
海野はハンク・ジョーンズやジュニア・マンスなど数々のレジェンド・ピアニストと交流し、最後期のロイ・ハーグローヴ・クインテットの一員としても活動したニューヨーク在住の奏者。
梅井は16歳で初めてブルーノート東京に登場、梅井美咲トリオをはじめとするジャズ・ミュージシャンとしての活動に加えて、歌ものユニット“haruyoi”、さらに君島大空、アイナ・ジ・エンド、ゆっきゅん等との共演も行なっている気鋭だ。
百戦錬磨の海野と、抒情的な演奏にも新境地を開く梅井のデュオローグは、何が飛び出すかわからないセッションの面白みを存分に楽しませてくれるはずだ。
10月9日(水)には、デヴィッド・ブライアントと和久井沙良が登場する。
デヴィッドは米国ニューヨーク・ブルックリンに生まれ、2019年から東京を拠点に活動。“TRISMIC”を筆頭とする自身のバンド、および数々のセッションへの参加で刺激的なサウンドをシーンに送り込んできた。
和久井もまたJポップ系ユニット“LioLan”で活動したり、ado、TK from 凛として時雨、ずっと真夜中でいいのに。のサポートを行うなど多方面で活躍。
最新アルバム『Into My System』はコンポーザー、シンガー、キーボード弾きとしての才能が詰め込まれた力作だった。
クラシックのルーツを持ち、ジャズに魅了され、ポップスの楽しさも体にしみこませながら、自らの音楽世界を拡張し続ける鍵盤奏者ふたりが、アコースティック・ピアノで臨むデュオの世界、これまた何が飛び出すか予想がつかない。
以上のメンバーがBLUE NOTE PLACEに集うわけだが、ピアノ・ファンにとってもうひとつ気になるのは「ステージ上における楽器2台の配置」であろう。
スタッフが最終的に決めたのは、「ステージを取り去り、客席中央にピアノを置く」ということ。つまりピアニストはオーディエンスに360度囲まれる形で演奏することとなり、オーディエンスの立場からいえばピアニストの気迫をよりダイレクトに感じながら音楽に没頭できる、というわけだ。
プログラムは2部制となっており、各ピアニストの無伴奏ソロ・ナンバーも織り込まれる予定。音色、指使い、ペダルの用い方、椅子の座り方、蓋の開いている角度の差異なども含めて、ピアノ好きにはたまらない瞬間が連続する3日間はもうすぐだ。
⚫︎2024 10.7 mon.
PIANO SUMMIT feat. Marcin Wasilewski & 小沢咲希
⚫︎2024 10.8 tue.
PIANO SUMMIT feat. 海野雅威 & 梅井美咲
⚫︎2024 10.9 wed.
PIANO SUMMIT feat. David Bryant & 和久井沙良
